2012年12月7日金曜日

Abbey Road Studio remastering Furtwangler


Abbey Roadスタジオのマスタリング・エンジニア Simon Gibson (サイモン・ギブソン)氏が去年、日本で発売されたフルトヴェングラー指揮ウィーンフィルのベートベン7番のSACD盤のリマスタリング過程に関しての解説したビデオです。


日本語の字幕はありませんので概要をまとめると以下のとおりです。

1.音は音源次第なので、できるだけよい音源を探すのに労力を費やした。

2.1950年録音当時は、直接原盤カッティングする方式がメインであった。テープ・レコーダーはまだ黎明期であり、原盤カッターと同時に実験的に使うのが主流であった。通常録音テープは2本作るのが一般的で、一つは保存用、もう一つはマスター・テープ編集用に利用されたのが普通。

3.SP時代の録音のデジタル復刻は、通常LP化した際のマスター・テープあるいはSPスタンパー作成用の金属原盤を使うのが一般的。しかし、今回は同時に録音された未編集のテープが思いのほかよい状態であったので、そのテープを使用することに決定した。

4.当時のテープレコーダーは電源が不安定でピッチが揺れるためピッチを決める必要があり、録音を聞いてA=443Hzが実際のピッチであったと判断。その結果、過去に発売されたCDなど等とは異なるものとなっている。

5.オリジナル音源から一旦デジタル・コピーを作り編集やノイズ削除を行い、その後アナログに変換してイコライジングなどの処理を加えて最後にデジタル変換し、デジタルマスターを作成。各種処理は音楽に悪影響を与えない程度で使うとの事で、ギブソン氏は多少ノイズがのこっても音楽性を優先させると事でした。

その他にも音源再生機器の説明などがあって、オーディオを趣味とするものにとってはとても興味深いものでした。僕らは結果だけ聞いて良し悪しを判断しああだこうだといっているだけですが、リマスタリング(特に古い録音)をちゃんとするのはいろいろと試行錯誤をし大変なことなのですね。音感や技術を持っているという事もさることながら真に音楽が好きできないことだなあと思いましたし、採算を考えると妥協せざる事も多いのではないかと思いました。

宣伝を兼ねてなのか、アビー・ロード・スタジオに関するオフィシャルなビデオがいろいろとYou Tubeに掲示されています。ご興味があれば検索してみてください。面白いですよ。

なお、このビデオのテーマとなっていたのは以下のSACD(ハイブリッド盤)です。僕も買って聞いてみようと思っています。


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