2013年3月30日土曜日

Blues Ette


まえにカーティス・フラーを見たときにサインを頂いたCD。彼の代表作の一枚であるのみならずモダンジャズの名盤の一枚。 久しぶりに聴いてみましたが良かったです。名盤の誉れが高いレコーディングはやっぱり他とは違う何かがあります。


2013年3月28日木曜日

鏡の国の...Nicki Parrott (ニッキ・パロット)ライブ

もう先々週のことになってしまいましたが...

歌う女性ベーシストとして特に日本で名が売れている様子のNicki Parrott (ニッキ・パロット)をJazzlandでみてきました。僕は彼女のCDも持っていないしあまり知らなかったのでどうしようかと直前まで迷ったあげく、オヤジ的興味が勝っていってみようかと思い友人を誘ってみたのですがあいにく駄目。そうしているうちにひどい風邪でダウン、こりゃだめだとおもったのですが土曜の昼ごろ友人夫婦の奥様から妻に電話があり、「Jazzland に行かない~?」とのお誘い。 NY駐在中に何度かLes Paul Trioに出演していたNicki を見たことがあったから懐かしくて、とのこと。気さくで話がよくあう方々なので妻も乗り気で僕も小康状態にあったので行くことにしました。ちなみにご主人は学生時代からバンドでギターを弾いていたとのことで今でもギブソンのフルアコとフェンダー・ツイン・リバーブを愛用されています。

人気がありそうだなと思ったのですが想像以上で、開演1時間前の8時に行ったら良い席はなくて、写真のように鏡に移ったNicki しか見れない席でした(それでも見れただけよかったかも)

妻の撮影。彼女のほうが写真は上手です。
今回のNicki のギグは一週間、毎日違うバンドと演奏するという企画。最終日にあたるこの日はBarrelhouse Jazzbandというニューオリンズ・スタイルのバンドだったこともあり、演奏は今ひとつしっくりとしていないようでした。


Nicki出演のアメリカ公共ラジオ放送の番組「Marian McPartland's Piano Jazz」 の録音がストリーミングで聞けます: http://www.npr.org/2011/03/11/134432938/nicki-parrott-on-piano-jazz
コンサートに行く前に妻と二人で聴きましたが素晴らしい演奏でした。ちなみにこの番組はMarian McPartlandがメインのホストで様々なジャズミュージシャンを招きインタビューを合間に入れたスタジオライブの番組です。1964年に始まったこの番組今でも続いているロングラン・シリーズです。


2013年3月25日月曜日

Cafe


グラーベンのカフェ (暖かかった日の撮影です)

ウィーン名物の一つ、カフェ。3月になると外に椅子とテーブルを出せるとの規制との事で今までガラガラだった目抜き通りの歩道があっという間にカフェに様変わりします。春といってもウィーンは寒い日が多いので写真のように赤外線ヒーターが点いて椅子には膝掛け用の分厚い毛布が用意されています。それでも、長くて暗い冬からの開放を待っていたかのように冬用の外套をまとった多くの人々で賑わいます。

今年の冬は、極端な冷え込みは無かったですがなかなか去って行ってくれません。三寒四温とはいうものの「温」の日の最高気温はせいぜい8度、「寒」の日は日中でもマイナス3度まで冷えることも!とくに今年の春は寒い日が多く、昨日から降り続いた雪が積もって今朝のウィーンの街は冬景色に戻っていました...。


2013年3月20日水曜日

Abbey Road Studio Vinyl Cutting




音楽業界も厳しいようで、あのアビロードスタジオも盛んに販促をやっている様子。その一環かYou Tube にも色々な動画がアップされています。 これは、アナログ盤のカッティングの模様。このビデオではアーティストやレコードプロデューサから送られてきたCDも元にカッティングを行うとの説明。ここでいうCDというのがマスターディスクのことなのかどうかわかりませんが、「音源はCDと同じ?」と思ってしまいました。まあ、予算に応じてなのでしょうが今巷に多く出回っているアナログ盤も音源がより高品位なデジタルあるいはアナログマスターの物は意外と少ないのかもしれませんね。

2013年3月17日日曜日

プリアンプ用カップリング・コンデンサー3種比較:Duelund Coherent Audio CAST PIO Cu /VH Audio CuTF/Audio Note UK Silver

右手前からAudio Note UK Silver/Mylar、Duelund CAST PIO Cu、VHAudio V-Cap CuTF

Audio Note KitsのL3プリアンプを導入してから10ヶ月程たちますが、その間に欧米のオーディオファイルの間で評価がとても高いフィルム・コンデンサを三種試しました。Audio Note UK Silver/Mylar (銀箔・マイラー)、VH Audio CuTF (銅箔・テフロン)、そして Duelund / Coherent Audio CAST PIO Cu (銅箔・オイル/蝋紙)です。Audio Note UKとVH Audioはいわゆる巻き型のコンデンサですがDuelundは積層型の一種で詳細は公開されていませんが同社はVirtual Stacked Foil Design と称しています。

まず最初に使ったのは、Audio Note UK Silver/Mylar (銀箔・マイラー)。これはいい意味でも悪い意味でもAudio Note UK独特の音で端的に言えば「中庸の美」を究めようとしているとでも表現できるような音です。特に中域の再生が素晴らしく、ジャズ・ボーカル・コンボなどはとてもリアルに素晴らしく再生してくれます。しかし、聴感上の帯域は多少狭い感じもするし、録音に付帯して聞こえる音(たとえば交響曲のホールトーンなど)はかなり控えめ。スピード感も若干劣るような気がすることもありました。Audio Note UKとその製品の音に傾向に関しては僕のHPをご覧ください、こちらです。

そして、前にも書いたVH Audio CuTF。これは去年の10月の終わりごろから使っています。これはレンジ感が広く、スピード感に富み、情報量も多く見通しが良くて中域も充分に厚みと温みをもった音です。ただデジタル音源では物によって若干キツめで煩くきこえるものがあったり、時々金属的な響きに聴こえることがあったり、ちょっと細身かなと思うことがあったりと気になるところがあるにはあったのですが、傾向とてしてはより僕の好みに合った音でしたので充分に満足していました。ネット上の欧米オーディオファイルコミュニティーではDuelundのほうが上だという主張も多く。一度は試したいと思っていたのですが結構値が張る上にロールケーキのスライスのような『どうやって取り付けるんだ?』という形状と大きさ(写真1)であるということが相重なって躊躇していました (ちなみに、容量が大きいと写真2のような形と大きさになります)Duelund / Coherent Audioは、デンマークのオーディオ用コンデンサで有名なコンデンサメーカーJensenからよりハイエンドな製品に特化する為にスピンオフした会社。両者はお互いに完全に独立した法人ですが、社屋も同じで事実上の関連会社関係にあり生産も一部Jensenに委託している部分があるようです。
(写真1)Duelund社 FaceBook ページより引用

(写真2)PartsConnexion.com より引用


そして、去年の終わりごろにカナダのパーツショップParts Connexionが特注限定バージョンでカップリング用のDuelund CAST PIO Cuを発売。これは形状を変えて大きさを抑えしかも通常バージョンの1/3程度の特別価格!もうこれは試すしかないと思いつつも2ヶ月ほど悩んで挙句決断。 その間に価格更改で値段がなんと下がって(ちょっとだけですが)ラッキーでした。カナダからパーツが届くのにちょっと時間がかかったのですが、届いてすぐに取り付け。いくら小さくなったとはいえ通常のフィルムコンデンサとは形も大きさ違うので工夫が必要で取り付けにちょっと時間がかかってしまいました。しばらくエージングしたのち気を入れて試聴。いやー、うちのシステムからこんな音が出てくるとは思ってもいませんでした。しばしユーフォリア状態でいろいろなレコーディングを聴きまくってしまいました。今はそれも去って冷静になって来たところです。

音的にはまず質感がとても向上しました。たとえば、ベースやチェロの胴鳴りがよくきこえたり、ジャズのソロドラムの際に(トムトム)がとてもリアルに聴こえたり、もちろんボーカルも暖かみが増しました。帯域も広がった印象を受けます。特に低域のズーンと沈む感じがよく出ます。音像も多少ながらよりはっきりとする感じです。不思議と小さい音もでもそれほど音がやせた様には聴こえませんし、大きな音でも低域の量感が大きすぎ手被ってしまうという感じもしません。高域はよりなめらかですが充分に伸びている感じがします。VH Audio CuTFに比べるとエコーの感じや録音時にとられた付帯音(例えばチェリストが呼吸しているおと)などが控えめに聴こえほんの少しだけ音の広がりが控えめになったかなという感じもします。全体的にはより煩くなくて、より自然な音になった気がします。僕にとってはより好みの音になったので満足してます。ただVH Audio CuTFの方がよりハイファイな音ではありますので好みに次第ではこちらの方がより良いと思う方がいるかもしれません。 Duelund / Coherent Audioは、CAST PIOコンデンサの銀箔バージョーンも出しているようですがこちらは受注生産で時価。巷の噂だとコンデンサ一個で僕のプリアンプと同じぐらいとのこと...。ここまでくると諦められますね。

尚、以上は我が家の環境で僕の好みに従った見解でコンデンサとそれぞれの機器やシステムとの相性も大きく音に影響しますのでその旨ご理解ください。

Audio Note UKサイトコンデンサのページ:http://audionote.co.uk/comp/cap_paper.shtml

VH Audio CuTFコンデンサのページ:http://www.v-cap.com/cutf-capacitors.php

Duelund CASTコンデンサのページ:http://www.duelundaudio.com/CAST_Capacitor.asp

PartsConnexion のCAST PIO Cuのページ: http://www.partsconnexion.com/capacitor_film_duelund_pio_elec_new.html


ご参考までに欧米のオーディオファイルに人気があるコンデンサ・レビューのサイトのリンクは以下のとおり:

http://jimmyauw.com/tag/duelund/

http://www.humblehomemadehifi.com/Cap.html

http://www.laventure.net/tourist/caps.htm

http://www.enjoythemusic.com/diy/0708/capacitor1.htm

http://www.v-cap.com/pdf-files/21capacitorshootout.pdf (中国のオーディオ雑誌コンデンサレビューの記事の英語訳)


2013年3月10日日曜日

Matt and Kim (マット・アンド・キム)

これも娘達におしえてもらった、インディ・ロック・ポップのデュオMatt and Kim(マットアンドキム)。2人はNY市にある名門美術工芸大学の一つプラット・インスティチュートに通っていたとき知り合ってバンドを始めたとあって、アーツィー(artsy) だけとポップでヒップな音楽が人気の様です。また、彼らのミュージック・ビデオも面白くて、このビデオはMatt and Kimを知らなかった、というか気にかけていなかった妻がYouTubeで見つけて家族へシャアで送ったもの。娘達はこの曲よく家で聞いているじゃんと言いながらもこのビデオは見たことがなかったようで家族でiPad を囲んでYouTubeで『It's All Right』を見ながらしばし一家団欒。でもお父さんにとっては娘達に見せるにはちょっと『?』なところもありました...。




Matt and Kim Official Site: http://mattandkimmusic.com/

DIYミュージックとも言われているようですが彼らのCDは録音が結構生々しくはっとするほど鮮度の高いトラックが入っていたりします。matt and kim




2013年3月8日金曜日

ショパン夜想曲

先週はコンサートが重なった週でLang LangPaul Badura-Skoda、そしてウィーンで活躍する日本人演奏家の方々が集まって行った震災で活動したウィーンのボランティア機関の為のチャリティーコンサートに行って来ました。これらのコンサートで共通して演奏されたのがショパンの夜想曲20番。先週はショパンの夜想曲にご縁があったねと言って妻と2人で聴いたのが以下の2枚のCD。

Angela Hewitt Chopin Nocturnes

カナダ出身でロンドンを拠点に活躍するAngela Hewitt(アンジェラ・ヒューイット)は日本よりも欧米でのほうが評価も人気も高いピアニスト。とくに彼女が演奏するバッハは評価が高くイギリスの音楽雑誌グラモフォンなどでも多くの賞を受賞しています。僕もアルバムを数枚持っていますがその全てがよく聴く愛聴盤です。このアルバムは現時点ではHewitt唯一のショパン。夜想曲全曲のほか即興曲1~4番と幻想即興曲が収められており、夜想曲に関しては20、21番と始まり1~19番まで続くという順序になっています。僕はこれはこれで良いと思います。 Hewittの演奏は静かで穏やかで満ち足りた夜を連想される、夜想曲という言葉から受けるイメージにぴったりな演奏。初めて聞いたときは感情の抑え淡々と弾いているかのような印象を受けましたが充分にロマンティシズムが感じられ、聴けば聴くほどにHewittの内向的な思慮深さが伝わってくる演奏です。

Maria Joao Pires The Nocturnes

ポルトガル出身のMaria Joao Pires (マリア=ジョアオ ピレス)は日本でも知名度が高いので説明は不要かとおもいますが、特に彼女のモーツアルトは評価も人気も高く有名です。このショパンの夜想曲のCDも評価が高い・人気のある演奏で欧米の評論家の多くがショパン夜想曲レコーディングのトップに良く上げているものでもあります。Hewittの録音とは対象的でより表現豊かでロマンティックな演奏。抑えつつも感情的起伏もより大きく聴き応えがあります。初めて聴いたときはちょっとやりすぎかとも思ったのですが、何度か聴くうちにHewittのとは違った意味での思慮深さとピレスの内にあるのであろうと思われる表現したい何かが感じられてくるような気がします。

これらCDは2枚のとも我が家の愛聴盤です。単なる表面的なロマンティズムに溺れることなく心がこもった深みのある何度聴いても飽きがこない演奏です。2枚あることによってそれぞれの良さがよりハッキリとそしてより明らかに聴こえてくるような気がします。

尚、ピレスのショパン夜想曲CDには全曲版と抜粋版がありますのでもし購入される場合にはお気をつけください。もちろんお薦めは全曲版です。最近でた廉価版もありますが音にこだわりを持つ方にはちょっと高めですが廉価版でない発売月日が古い物の方をお薦めします。HewittのChopinはハイブリッドSACD盤もありますがこちらは廃盤のようで残念ながらプレミアムがついているようです。

2013年3月4日月曜日

Paul Badura-Skoda (パウル・バドゥラ=スコダ)氏のコンサート


演奏終了後観客の拍手に応えるスコダ氏

先週の木曜日(2月24日)は、妻と2人でパウル・バドゥラ=スコダ氏のコンサートに行って来ました。「ウィーン三羽烏」一人であるスコダ氏のリサイタルは今回が2度目です。
会場は楽友協会ブラームス・ザール。ロマン派作品のプログラムで、Schumann Op.15「子供の情景」、 Franz Schmidt "Tocatta  für linke Hand allein"、 Hans Gál Op.83 -15,16,24、Brahms Op.119 「4つの小品」、Chopin のNocturne No.20、Barcarolle Op.60、 Scherzo Op.31、 Frank Martin Acht P'reludes für Klavier。

85歳とは思えぬ力強いタッチで素晴らしい演奏を聞かせてくれました。スコダ氏というとウィーン古典派が得意というイメージがありますが、今回のコンサートでは特に近代的な薫りのする後期ロマン派の作品の演奏に特筆するものがありました。

スコダ氏は膨大な数の録音をされていますがそのほとんどが廃盤となっており、とくに音楽家としてのピークであった50~70年代頃の演奏のほとんどが中古レコードでしか入手できないのが残念です。