2018年7月30日月曜日

オーディオ仲間のノベルトさん宅訪問

Haigner Gamma Horn、リスニングポジションで音が大きく変わるため、クロスオーバーのチューニングが困難で3本製造販売したのち、基本的に今は作っていないとの事。
先週の金曜日(7月27日)は、とても久しぶりにウィーンの数少ないオーディオで知り合った友人のノベルトさんのお宅に伺いました。仕事の後、駅で落ち合って、一緒にウィーン郊外のバーデンまで。奥様が準備してくださっていた軽い夕食を頂いた後、アナログを中心に色々と聴かせて頂きました。 

ノベルトさんのシステムは、製品構想の段階で一号機を注文し、自ら開発に携わったというHaigner社(http://www.haigner.com/)のGamma Horn を中心に組まれています。 Haigner社 は 音響エンジニアでウィーン市役所、市立コンサートホール、アルベルティーナ美術館などのPAシステムの構築・導入の実績を持つ、David Haigner氏が創立したウィーンにあるオーディオ・ファイルと録音スタジオ向けスピーカー・メーカーです。

前も書きましたが(こちら)このスピーカーは本当に立体的でリアルな音場・音像をかもし出します。今回気がついたのは、演奏家たち、楽器、ボーカルの位置感はレコーディングにあくまでも忠実。したがって元のレコーディングの録音・ミキシングなどに問題があるとその難点がハッキリと判ります。

スピーカー以外はすべて機材が一新されていましたが詳細は長くなるので省きます。

僕が持っていったLPでとても良くなってくれたのがこれ:

Lilian Terry Meets Tommy Flanagan ‎– A Dream Comes True /  Soul Note ‎– SN 1047

暫く前にこちらの中古レコード店で何も知らずに、Tommy Flannaganがピアノだからと買って、歌と音のよさにびっくりしたLP。ノベルトさんのリスニング・ルームではまるで目の前で等身大のLilian Terryが歌っているように聴こえました。彼曰く、このレーベルには良い音のレコードが多いとの事。

アマゾンより引用 https://amzn.to/2OqjU5A
もっていった、デジタル音源でとくによかったのはこれ、安次嶺 悟  「To Sing from Memory」( http://waonrecords.jp/waoncd3030.html) ノベルトさんはPC/ネットワークオーディオはまだ始めていなく、ドイツの定年退職したエンジニアが趣味と実益を兼ねて改造して販売しているマランツCD 67SEをデジタル再生に使っています。このCDプレヤー、中身は既製品からは殆どすべて一新されているようですが、凄く音がよくて、こんなのがあればPCオーディオ、ひいてはハイレゾなんていらないよな~という感じ。しかもリーズナブルな値段なので全くもっていやになってしまいました。なぜCDの最盛期にこんな機器がメーカーから出てこなかったのであろうか?と不思議でたまりません。で、ノベルトさん宅できいた上の写真のCDの音が又凄かったのです。リスニング・ルームが録音に使用されたホールに変わってしまったかと思うように、部屋中が音楽に溢れ体が包み込まれるかんじ。こんなことはライブ以外では初めて。

ノベルトさんもこのCDを気に入った様子でした。家に帰ってからもう一度、聴いたのですが、あんな音は出ません。ということは、このCDには凄い音が刻まれているのだけど、それを取り出せるかどうかはシステム次第ということなのでしょう。ちょっと、ショックでした。ペア・マイクでの録音との事ですが、楽器間のバランスも絶妙。音質だけでなく演奏も素晴らしいのでお薦めです。

ここまで素晴らしく鳴らされているシステムは類稀だと思いますし、ノベルトさんのうちに行くといつも謙虚な気持ちにさせられます。聴き始めはいつも家のシステムは足元にも及ばないという気持ちで落ち込むのですが、しばらくすると、どうしたらよく出来るか?という動機付けになってきます。帰りのバスの中では、どうしたらあんな音に近づけられるだろうと頭の中が一杯でした。






2018年7月21日土曜日

ネルソン・パス 企画・設計の Amp Camp Ampを作りました




Pass Laboratories や  FirstWattの創立者として知られているアメリカオーディオ界の雄Nelson PassのAmp Camp Amp (ACA)を作りました。氏がDIYAudio.com  とBurningAmp Festival との共催で2012年に行った、親子でアンプを作ろうというAmp Campというイベント為に企画・設計したキットだとの事です。 DIYAudio.com が2年ほど前からはじめたDIYAudioStoreからキットで購入。パス氏の公式バージョンです。安価ながらElnaのSilmicIIといった高品位なパーツが要所の為に同梱されています。2012年から改良が重ねられ、僕が購入したのは5世代目。6世代目が9月に発売されるようです。とても評判が良い大人気の商品で入荷案内がメールで届くと数時間のうちに売り切れになります。
DIYAudio.comより引用 、24Vの電圧で使用可能でその場合は出力8W

イベントの限られた時間内に完成でき、かつ、高音質であるようにと至ってシンプルな回路。氏のFirst Watt のアンプに通じるところがあります。欧米では禅的デザインと評されています。電源は安全性とコストを勘案し市販のスイッチング電源。パス氏は、スイッチング電源でも十分に良いパフォーマンスが得られるから心配無用と述べています。キットについてくる電源は多くの市販品の中から氏自ら選び抜いた物だとの事。

僕のDIYは真空管ばかりで半導体のアンプを作ったことがなかったので、初めてのトランジスターアンプには適当かと思った次第。配線材とR11の抵抗は手持ちの僕が好んで使っているものを使用。



完成後の音出しは使っていないBose101でやろうかと思い、押入れを探すも見つからず、次女が大学に持っていったことを思い出し、マアいいやとメインシステムで試すことに...。ちょっと不安が胸をよぎりましたが、スピーカーをつなぐ前に電源を入れて、電圧などをチェックした限りでは大丈夫そうだったので...。

早速、音を出してみるとその良さにびっくり。トランジスターというより真空管に近い音だと思いました。音楽を楽しむには、これで十分だと思える音質。さすがネルソン・パスだと思いました。メインに使用している300Bのアンプの十分の一以下のコストなので、色々とオーディオマニアの悩みも出てきました。


DIY Audio Store ACAのページ(メール登録をしておくと入荷時にお知らせが来ます):


2018年7月17日火曜日

スタンリー・クラーク バンド コンサート  / Stanley Clarke Band Concert



7月11日水曜日の夜は、スタンリー・クラーク・バンドのコンサートに行ってきました。会場は、Porgy and Bess。妻は、留守番するといったので僕一人です。娘たちは、この夏は、長女は帰省せず、次女は8月半ば過ぎに戻ってくる予定。今回のメンバーは以下の通り:

Stanley Clarke: double bass, electric bass

Beka Gochiashvili: piano, keyboards

Cameron Graves: keyboards

Shariq 'Riq' Tucker: drums, percussion

Salar Nader: tablas



僕にとり、スタンリー・クラークはエレキ・ベースという印象が強いのですが、今回は
アンコール以外全て、ウッド・ベースで演奏。とはいえ、ピックアップで音をひろい、様々なエフェクターを通していました。サイドもアコースティック・ピアノ、タブラ、ドラムスとキーボードと生楽器中心でした。

オリジナル曲、チックコリアの曲などをとりまぜ、全体的に70〜 80年代の香りのするジャズという雰囲気でしたがワルツ・フォー・デビーも入れて、とてもよかったです。クラークの超絶テクニックと違和感なくベースがリード楽器となっていたところは凄いの一言。若手の凄腕を集めた面々とのアドリブの掛け合い、観客を一気に惹きつけるところなど、クラークのカリスマ性を目の当たりにすることができました。

メンバーは全員よかったですが、特にドラムスのShariq 'Riq' Tuckerの注目していくプレイヤーだと思いました。 

行こうか、どうしようかだいぶ迷って、ギリギリにチケットを買ったのですが、良い席に当たり、予想外にアコースティックなジャズ一色のコンサートのプログラムであったこともあり、大満足で帰途につきました。僕にとりジャズはライブが一番です。


2018年7月11日水曜日

Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 7-12mm F2.8 PRO レビュー


ウィーンは、晴れて乾燥し、夜には涼しくなる快適な日々が続いていましたが 、昨日は午後から雷を伴う雨。 今回は久しぶりにカメラの話題です。

暫く我が家の写真機材の中でのM4/3の位置づけに悩んできました。セミプロでしばしば仕事も引き受ける妻はニコンのフルフレーム+プロ・ズーム+(ポートレート用に)大口径単レンズかiPhone、僕はライカMとコンデジがメイン。前にも書きましたが、マイクロフォーサーズカメラ(M4/3)の小さくて軽くて持ち歩くのにストレスが無いところが良いのですが、持っていたレンズが力不足だったのか画質的に見劣りがする様に感じるようになったこと、小さなボタン(とくにフォーカス・ポイントの移動)とメニュー・スクリーンに頼る操作(連写設定、ISO等など)のUI(ユーザーインターフェイス)に馴染め無いというのが難点でした。しかし、一年ほどまえにM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO を購入しその画質、ズームレンジそして最短撮影距離の短さに惚れて、M4/3を使っていこうと決めました(こちら)。

ISO 200, 7mm, F10
しばらく前にLumix G Vario 7-14mm F4 ASPHを購入・返品した事を書きました(こちら)。その後、超広角レンジをどうするかが懸案でした。しかし、半年ほど前にとある事情であまり使っていない写真機器の殆どすべて処分した際に、おつりが出たので、思い切ってM.ZUIKO DIGITAL ED 7-12mm F2.8 PROを購入した次第です。半年ほど使っていますがM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROと同様に文句のつけようのない素晴らしい写りで、とても満足しています。



パナソニックのLEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.にするか迷ったのですが、パナソニックの方は動画対応を謳っており、オリンパスの方がスティル写真に特化しているという印象をもっていたこと、どうせなら1mmでも広めの画角が良いと判断しました。

LEICA DG VARIO-ELMARITのズームレンジは18㎜まで(35㎜判35㎜相当)という点はとても魅力でしたが、M.ZUIKO DIGITAL ED の14㎜(35㎜判28㎜相当)は、スマホの画角に近いということ、それに、以前ライカMの28㎜と35㎜と両方持っていたとき、いずれか一本あれば十分だったという経験もあって、これで良いと考えました。実際に使ってみてもまったく支障なくこのレンズ一本で十分街歩きが出来ます。

ISO 800, 9mm, F2.8
オリンパスのPROシリーズのレンズは、他に比べ大きくて重いので、M4/3の小さくで軽いというメリットは少なくなりますが、フルフレームDSLR用の同等のレンズと比較すると重さは半分で大きさも一回り以上小さくなりますし、これだけの写りだと多少大きくて重くなったけど良いと思えてきます。

ISO 1000, 7mm, F2.8
唯一不満なことはフォーカスリングを手前に引くことで、オートフォーカスから、マニュアルフォーカスへ切り替えができる「MFクラッチ機構」(下の写真)。AFがあるカメラでは、カメラに任せのほうが断然良くピントが合うので自分はもともとMFは殆ど使わない上に、バッグから取り出したり、レンズ交換の際についついフォーカスリングを引いてしまい、MFになっていることに気づかずに撮ったという失敗が何度かありました。

フォーカスリングを引いてMFになっている状態。

慣れれば問題ないのことなのですが、老眼の上にEVFで超広角だとピントが合っているかどうか判りにくいということもあるのかと思っています。

ISO 200, 10mm, F2.8
使っているカメラは相変わらず初代のE-M5です。デジタルになってからは、レンズの方がカメラより断然プロダクト・ライフが長く、写りにもより大きく影響があるというのが自分の考えですので、投資はまずレンズにすることにしています。僕は常にRAWで撮り、パソコンで現像しているので、もう6年前に発売されたE-M5ですが、画質が明らかに劣っているという印象は受けません。 

お日様に向かって撮るとさすがにゴーストとハレーションは顕著です。ISO 200, 7mm, F7.1
広角がお好きでM4/3をお使いの方には是非お薦めしたいレンズです。フルサイズDLSRをお使いで、超広角プロズームの購入を検討されている方も、その予算でこのレンズ+M4/3ボディを購入するとおつりが来ると思います。

OM-D E-M5 (mark IIがだいぶお安くなっています) + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 7-12mm F2.8 PROの組み合わせは、全く不満のない優れた写りで、防滴仕様であることも含め、写真を趣味とする方の最強の旅の友となるかと思います。雪や雨に中でも平気で写真が取れるのでシャッターチャンスも増えました。旅行はこのセットで行くようになり、ライカの出番が減ってしまいました。

注)このページの作例はRAWで撮影。LightRoomで現像。その際、露出、色調、トリミングなどの調整を若干加えています。

本ブログのマイクロ・フォーサーズ カメラとレンズに関する記事のまとめはこちらです:http://isakusphere.blogspot.com/search/label/M43



2018年7月4日水曜日

William Evans (Piano) Trio + Tony Lakatos (Tenor Sax) コンサート イン バーゼル


今週のウィーンは日中は26度以上、夜は16度ぐらいと温度差が大きい日々が続いています。乾燥しているのでとても快適です。

もう10日ほど前のことですが6月23~24日の週末は、会議出席のため出張でスイスのバーゼルに行ってきました。イブニング・レセプションのあと、Bird's Eye というジャズクラブにいってきました。演奏していたのは、William Evans (Piano) Trio +  Tony Lakatos (Tenor Sax)。他のメンバーは、Darryl Hall (Bass)  と Gerald Cleaver (Drums)。行って後から調べて判ったことなのですが、この日のメンバーは、著名ジャズミュージシャンのサイドをやった経験があるベテランぞろい。リーダーのWilliam Evansは、バーゼル音楽院のジャズ学科の先生だとの事で。だから、この日のお客さんは若い学生風の人たちが多かったのだと納得。

ベテラン揃いということもあってか、良い意味でジャズの王道を行くという表現がぴったりくる演奏でとても楽しめました。とくにハンガリー出身のTony Lakatos は良かったです。
前半のセットは、スタンダード中心、後半はWilliam Evansのオリジナル中心で個人的には前半の方が良かったと思いました。



Bird's Eyeは、坂道にある細いほどを上る途中に突然ドアがあってそこがクラブでした。ホテルのフロントで行き方を聞かなければ迷っていたと思います。



日中は、ここでの会議に出席していました。