2013年3月17日日曜日

プリアンプ用カップリング・コンデンサー3種比較:Duelund Coherent Audio CAST PIO Cu /VH Audio CuTF/Audio Note UK Silver

右手前からAudio Note UK Silver/Mylar、Duelund CAST PIO Cu、VHAudio V-Cap CuTF

Audio Note KitsのL3プリアンプを導入してから10ヶ月程たちますが、その間に欧米のオーディオファイルの間で評価がとても高いフィルム・コンデンサを三種試しました。Audio Note UK Silver/Mylar (銀箔・マイラー)、VH Audio CuTF (銅箔・テフロン)、そして Duelund / Coherent Audio CAST PIO Cu (銅箔・オイル/蝋紙)です。Audio Note UKとVH Audioはいわゆる巻き型のコンデンサですがDuelundは積層型の一種で詳細は公開されていませんが同社はVirtual Stacked Foil Design と称しています。

まず最初に使ったのは、Audio Note UK Silver/Mylar (銀箔・マイラー)。これはいい意味でも悪い意味でもAudio Note UK独特の音で端的に言えば「中庸の美」を究めようとしているとでも表現できるような音です。特に中域の再生が素晴らしく、ジャズ・ボーカル・コンボなどはとてもリアルに素晴らしく再生してくれます。しかし、聴感上の帯域は多少狭い感じもするし、録音に付帯して聞こえる音(たとえば交響曲のホールトーンなど)はかなり控えめ。スピード感も若干劣るような気がすることもありました。Audio Note UKとその製品の音に傾向に関しては僕のHPをご覧ください、こちらです。

そして、前にも書いたVH Audio CuTF。これは去年の10月の終わりごろから使っています。これはレンジ感が広く、スピード感に富み、情報量も多く見通しが良くて中域も充分に厚みと温みをもった音です。ただデジタル音源では物によって若干キツめで煩くきこえるものがあったり、時々金属的な響きに聴こえることがあったり、ちょっと細身かなと思うことがあったりと気になるところがあるにはあったのですが、傾向とてしてはより僕の好みに合った音でしたので充分に満足していました。ネット上の欧米オーディオファイルコミュニティーではDuelundのほうが上だという主張も多く。一度は試したいと思っていたのですが結構値が張る上にロールケーキのスライスのような『どうやって取り付けるんだ?』という形状と大きさ(写真1)であるということが相重なって躊躇していました (ちなみに、容量が大きいと写真2のような形と大きさになります)Duelund / Coherent Audioは、デンマークのオーディオ用コンデンサで有名なコンデンサメーカーJensenからよりハイエンドな製品に特化する為にスピンオフした会社。両者はお互いに完全に独立した法人ですが、社屋も同じで事実上の関連会社関係にあり生産も一部Jensenに委託している部分があるようです。
(写真1)Duelund社 FaceBook ページより引用

(写真2)PartsConnexion.com より引用


そして、去年の終わりごろにカナダのパーツショップParts Connexionが特注限定バージョンでカップリング用のDuelund CAST PIO Cuを発売。これは形状を変えて大きさを抑えしかも通常バージョンの1/3程度の特別価格!もうこれは試すしかないと思いつつも2ヶ月ほど悩んで挙句決断。 その間に価格更改で値段がなんと下がって(ちょっとだけですが)ラッキーでした。カナダからパーツが届くのにちょっと時間がかかったのですが、届いてすぐに取り付け。いくら小さくなったとはいえ通常のフィルムコンデンサとは形も大きさ違うので工夫が必要で取り付けにちょっと時間がかかってしまいました。しばらくエージングしたのち気を入れて試聴。いやー、うちのシステムからこんな音が出てくるとは思ってもいませんでした。しばしユーフォリア状態でいろいろなレコーディングを聴きまくってしまいました。今はそれも去って冷静になって来たところです。

音的にはまず質感がとても向上しました。たとえば、ベースやチェロの胴鳴りがよくきこえたり、ジャズのソロドラムの際に(トムトム)がとてもリアルに聴こえたり、もちろんボーカルも暖かみが増しました。帯域も広がった印象を受けます。特に低域のズーンと沈む感じがよく出ます。音像も多少ながらよりはっきりとする感じです。不思議と小さい音もでもそれほど音がやせた様には聴こえませんし、大きな音でも低域の量感が大きすぎ手被ってしまうという感じもしません。高域はよりなめらかですが充分に伸びている感じがします。VH Audio CuTFに比べるとエコーの感じや録音時にとられた付帯音(例えばチェリストが呼吸しているおと)などが控えめに聴こえほんの少しだけ音の広がりが控えめになったかなという感じもします。全体的にはより煩くなくて、より自然な音になった気がします。僕にとってはより好みの音になったので満足してます。ただVH Audio CuTFの方がよりハイファイな音ではありますので好みに次第ではこちらの方がより良いと思う方がいるかもしれません。 Duelund / Coherent Audioは、CAST PIOコンデンサの銀箔バージョーンも出しているようですがこちらは受注生産で時価。巷の噂だとコンデンサ一個で僕のプリアンプと同じぐらいとのこと...。ここまでくると諦められますね。

尚、以上は我が家の環境で僕の好みに従った見解でコンデンサとそれぞれの機器やシステムとの相性も大きく音に影響しますのでその旨ご理解ください。

Audio Note UKサイトコンデンサのページ:http://audionote.co.uk/comp/cap_paper.shtml

VH Audio CuTFコンデンサのページ:http://www.v-cap.com/cutf-capacitors.php

Duelund CASTコンデンサのページ:http://www.duelundaudio.com/CAST_Capacitor.asp

PartsConnexion のCAST PIO Cuのページ: http://www.partsconnexion.com/capacitor_film_duelund_pio_elec_new.html


ご参考までに欧米のオーディオファイルに人気があるコンデンサ・レビューのサイトのリンクは以下のとおり:

http://jimmyauw.com/tag/duelund/

http://www.humblehomemadehifi.com/Cap.html

http://www.laventure.net/tourist/caps.htm

http://www.enjoythemusic.com/diy/0708/capacitor1.htm

http://www.v-cap.com/pdf-files/21capacitorshootout.pdf (中国のオーディオ雑誌コンデンサレビューの記事の英語訳)


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