2020年9月29日火曜日

トランプ大統領の再選がありうる背景ーその2 アメリカ人のマスコミに対する不信感



今回はマスコミに関する不信感とネットによる様々な思想の拡散について書きます。

マスコミに対する信頼度 米ギャラップ社サイト(gallup.com)より引用

去年実施された米ギャラップ社の世論調査によると、59%のアメリカ人はマスコミ(新聞・ラジオ・テレビ)に対し不信感を持っているという結果がでています。上のグラフは、マスコミにニュースが『偏りなくすべてを、正確に、公平に伝える』といことに『とても信頼する』あるいは『概ね信頼する』との回答の割合のグラフです。この傾向は今にはじまったことではなく、同社サイトの詳細(https://news.gallup.com/poll/1663/Media-Use-Evaluation.aspx)をご覧いただくと分かりますが、調査が始まった1970年代をピークマスコミへの信頼度は下降しここ十年程はほぼ4割台となっています。


支持政党別のマスコミに対する信頼度 米ギャラップ社サイト(gallup.com)より引用

マスコミへの信頼度を回答者の支持政党別に見たのが上のグラフです。支持政党によってマスコミに対する信頼感の傾向がはっきりと異なっています。民主党支持者の7割程度はマスコミを信頼し、共和党の支持者は2割程度。トランプ大統領の任期が始まった2017以降、その乖離がより大きくなっていることがはっきりとわかります。決まった支持政党のない層(Independents)は四割前後です。

アメリカのマスコミは一部を除きその多くはよりリベラルで民主党支持の傾向がありますので、自らの観点が反映されていれば信頼できると評価しそうでなければ信頼できないと評価するのは当然の結果といえるでしょう。ということは、トランプ大統領を叩こうが、スキャンダルを暴露しようが、現大統領の支持層を揺るがすのは困難であるであろうということは想像がつくかと思います。ここで注目すべきは決まった支持政党のない層(Independents)もマスコミを信頼しているのは四割前後しかいないということです。つまり、マスコミの報道はSwing Stateの投票結果を左右しうる支持政党のない層(Independents)への影響も低いと考えらることです。したがって、マスコミの報道はアメリカ国民の考えに影響を及ぼすということは日本など比べるとだいぶ低いと言わざるを得ないでしょう。


マスコミ離れにさらに拍車をかけていると思われるのが、平均的に低いアメリカ成人の読解力かと思われます。OECD加盟国等24か国・地域(日、米、英、仏、独、韓、豪、加、フィンランド等 )が参加し、16歳~65歳までの男女個人を対象として実施された国際成人力調査(PIAAC)によると、アメリカ人で読解力が弱いと評価されたのは全体の21.7% それに日本は6.1%です(レベル1以下+欠損、5段階評価で最も読解力があるのはレベル5)。この結果をもとにアメリカ合衆国教育省はアメリカの成人(18歳以上)のおよそ4千3百万人強の読解力が弱いことにつながると分析しています。アメリカ合衆国国勢調査局によるとアメリカ成人はおよそ2億5千5百万人とされていますから全成人のおよそ17%の読解力は弱いことになります。このことからは、多くのアメリカ国民がニュースなどの時事情報を得るのはネット配信を含む動画・ラジオに頼る傾向があることがうかがえ時事情報ソースの多様化のなか、自らが信じたいもの・考えにあるものを真実・事実として受け入れる要素となっていっているのだと思います。



(つづく)

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