2016年3月13日日曜日

大久保潤・篠原章著 「沖縄の不都合な真実」


昨年末に帰省した際に、那覇市内の本屋でベストセラー第3位に入っていた本。このような書名と帯のコピーの本は如何かなと思ったのですが、興味をそそられたのでちょっと立ち読みして面白かったので購入。

僕は大学進学のために沖縄を離れて以来、35年近く沖縄では暮らしていないので、内容的には大多数の人々が認めうる事実・現実なのかの判断がつきかねる点も残念ながら結構あったのですが、しっかりと構成された論点で経済統計なども有効に使われており、スキャンダラスなコピーとは裏腹にしっかりと書かれた本だと思いました。殆どのマスメディアが基地反対・撤退という2極論の観点で報道しているなか、沖縄が直面している問題の本質を議論するうえでを有効なカ論点をいくつも提示しているのではないかと思いました。発売されて11ヶ月過ぎても(僕がこの本を買った時点)書店でのペストセラー上位に入っているということは、この本に書かれている内容に対する沖縄の人々の関心の高さを表しているではないかと思いました。

人生の半分以上を海外で暮れしている自分から見ると、同書かれていることの本質は沖縄特有用の問題ではなく、多くの新興国・途上国あるいは先進国の過疎地域が直面している世界的な問題と共通しているということをまず感じました。特に天然資源には恵まれているけど、産業・人材に乏しく、自国外の採取産業企業の投資や先進国の経済援助で資源開発を試み、経済発展を計っていこうとしている国の多くにも似たような状況・現実が存在します。

経済の発展・成長の先行きが不透明である中、政治の保守化傾向(右傾向)と 民族・国粋主義の台頭、資本主義の更なる躍進が招いた貧富格差の拡大等、先進国・途上国を問わず今顕著に現れてきている世界的な現象とも共通項が多いのではないのでしょうか? これは、どでも一緒なのだから仕方が無いとうことでは決して無くて、沖縄は独自にこのような問題を解決していける可能性をもっているのであり、もしそれが実現出来れば、世界的にもロールモデルとなり得るということだと思います。

このような本を読むと、長く故郷を離れているとは言え、自分のなかにある「うちなーんちゅ」のアイデンティティーが刺激されいろいろと考えさせられます。




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