2015年9月30日水曜日

ウィーン・フィル主催の難民救済チャリティーコンサート




ウィーンは日もだんだんと短くなり、肌寒く感じるようになってきました。9月のウィーンはミュージック・シーズンの始まりでもあります。

一昨晩(9月28日)は、ウィーン・フィル主催・オーストリア大統領共催のアフリカ・中近東からの難民救済チャリティーコンサートに行ってきました。会場はコンツェルト・ハウス大ホール。指揮はChristoph Eschenbach(クリストフ・エッシャンバッハ)。ソプラノはElisabeth Kulmanプログラムは:

Wolfgang Amadeus Mozart:Symphony in G minor, K. 550 (1788)
Richard Wagner: Five poems by Mathilde Wesendonck for a female voice and piano "Wesendonck-Lieder" (Arrangement for Soprano and Orchestra: Felix Mottl) (1857-1858)
Wolfgang Amadeus Mozart: Symphony in C major K 551 "Jupiter Symphony" (1788)

中近東やアフリカからの難民流入の問題はヨーロッパでは我々の想像以上にとても大きな問題。大国の軍事・政治介入、宗教的対立という大儀、開発途上の経済と貧困、さまざまな要因が重なって引き起こされて終わりの見えない内戦とテロリズムから着の身着のまま命がけで逃げてきた難民の人々。ナチスドイツや元ユーゴスラビア諸国の民族排斥の歴史を教訓とし人道的な立場から難民を被害者として手厚く保護しようする大きな動き。それに対し、おそらく、過去の民族移動の歴史になぞらえるのか、ヨーロッパの文化・民族性を変えていく事象であると危惧する人たちも多いようで、ヨーロッパにおける政治の右傾化に拍車をかけている。まさに欧州の人々を分断するきっかけになりかねない、第二次世界大戦後最大の危機的状況に発展しかねない問題である。EU内では旧共産圏の東欧諸国が難民受け入れに難色を示しているが、同じくもと共産圏でEUに加盟していない(できない)旧ユーゴスラビア諸国からこの機に乗っかって西欧諸国に入国する多くの経済難民の存在がさらにヨーロッパの人々の民族的感情の問題を複雑にしているということもまた大きな問題となっている。

さて、チケットの売り上げは全額難民救済団体に寄付されるというこのチャリティーコンサート、チケットは普通より高めで、しかもたった2週間ほど前に発表されたにもかかわらず、ホールはほぼ満員。このような催しを即座に決めて、開催し、多くの観客を呼び集めることのできるウィーン・フィルの偉大さに関心させられました。

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