今週のウィーンは最高が30度を超える夏の日が続いています。
もう一年半ほど前のことですが、NY タイムスの記事 ( https://nyti.ms/2iDzy2d ) を読んで買ったこの2枚組みレコード。主にアングラ・レコード・クラブ (通称: URC)などの日本のインディペンデント・レーベルから 1969~73年に出されたフォーク、ロックが収録されているこのコンピレーション・アルバムは自分にとってはとても新鮮でした。長い間、海外で生活していることもありますが、殆どの曲が初めて聞くものばかり。この時代、僕はちょうど小学校1年~5年生の頃なので、このレコードに収録されている曲になじみが無くても当然かという気もしますが、残念ながらその後も触れる機会がありませんでした。
僕も今までの60年近い人生の中、過ぎた年代の日本の映画・音楽といったいわゆるポップ・カルチャーに遭遇したのはいつも国外でした。黒澤明の「七人の侍」や小津安二郎「東京物語」を始めて観たのはアメリカで、80年代後半だった当時、黒澤/小津の映画監督としての経歴と彼らのフィルムグラフィーを含む映画について書かれた最も包括的な本はドナルド・リチー氏のものしか見当たりませんでした。そして、このアルバムです。灯台下暗しというか、自らの良いところが見えにくいというのは、日本だけのものではなく、アメリカでもとくに50~60年代のジャズに関しては、レコード・CDはあまり多く出ていなくて本も学術的な音楽学の専門書以外、一般の人がジャズを知るための本というのは殆ど無く、日本に帰国するたびに本やCDを買っていました。身近な物に価値を見出せないというのは、ある意味で人の文化・芸術・工芸に対する姿勢の本質的なところにあるものかもしれません。「青い鳥」や「オズの魔法使い」もそのようなテーマでしたね。
さて、このアルバムには以下の曲が収録されています:
遠藤賢司「カレーライス」
山平和彦 & ザ・シャーマン「そっと2人で」
金延幸子「あなたから遠くへ」
古井戸「ろくでなし」
加藤和彦「アーサー博士の人力飛行機」
はっぴいえんど「夏なんです」
西岡たかし「満員の木」
南正人「夜をくぐり抜けるまで」
浅川マキ「こんな風に過ぎて行くのなら」
布谷 文夫「水たまり」
細野晴臣「僕は一寸」
吉田拓郎「蒼い夏」
赤い鳥「竹田の子守唄」
愚「マリアンヌ」
斉藤哲夫「われわれは」
ジプシーブラッド「過ぎし日を見つめて」
はちみつぱい「塀の上で」
加川 良「ゼニの効用力について」
ディランII「男らしいってわかるかい」
立派な小冊子がついており、それには解説、それぞれの歌手・バンドの紹介、そして日本語の歌詞と英語での対訳が含まれています。日本という異文化と歴史的時代背景が異なるコンテクストで書かれた示唆に富む歌詞がそのソウルを失わずにとても巧みに英訳されていると思いました。
さて、このアルバムには以下の曲が収録されています:
遠藤賢司「カレーライス」
山平和彦 & ザ・シャーマン「そっと2人で」
金延幸子「あなたから遠くへ」
古井戸「ろくでなし」
加藤和彦「アーサー博士の人力飛行機」
はっぴいえんど「夏なんです」
西岡たかし「満員の木」
南正人「夜をくぐり抜けるまで」
浅川マキ「こんな風に過ぎて行くのなら」
布谷 文夫「水たまり」
細野晴臣「僕は一寸」
吉田拓郎「蒼い夏」
赤い鳥「竹田の子守唄」
愚「マリアンヌ」
斉藤哲夫「われわれは」
ジプシーブラッド「過ぎし日を見つめて」
はちみつぱい「塀の上で」
加川 良「ゼニの効用力について」
ディランII「男らしいってわかるかい」
立派な小冊子がついており、それには解説、それぞれの歌手・バンドの紹介、そして日本語の歌詞と英語での対訳が含まれています。日本という異文化と歴史的時代背景が異なるコンテクストで書かれた示唆に富む歌詞がそのソウルを失わずにとても巧みに英訳されていると思いました。
Even A Tree Can Shed Tearsは、一昔前の失われた名盤・珍盤・迷盤を発掘し正式にライセンスを取ったリイシューとして世に出しているアメリカ、シアトルのインディペンデント・レーベル、Light In The Atticが日本の過去の名作を復刻するシリーズ「Japan Archival Series」発足の第一作目。コンピレーション・プロデュースは Jake Orrall (DJ)、Yosuke Kitazawa (北澤洋祐) 同社Reissue Producer 兼フリーランス・ライター/編集者、 Matt Sullivan 同社創立者・共同経営者、そしてPatrick McCarthy, 同社 Project Manager and Reissue Producer(敬称略)とクレジットされています。ジャケットはイラストレーターの北澤平祐(きたざわへいすけ)氏、上述の北澤洋祐氏のお兄様だそうです。
ちなみに、前述のNYTimesに記事によると、このアルバムを出すにあったって一番大変だったのは、『こんなのがいまさら海外で売れるのか?』という懐疑心から版権を持つ日本のレーベルがライセンスすることを渋ったということだったらしいです。残念というかなんと言うか...。
第一作目に売れ行き・評判が良かったと思われ、同社からは次々と70~80年代の日本のポピュラー・ミュージックのコンピレーション・再発盤が発売されています。(海外在住の邦人を含む)海外の若者達によって、集められ、再び世に出され、紹介されている、これらの音楽を、まだ聴いたことが無い日本の若者から我々の年代の中年層までの方々に是非聞いていただき再発見して欲しいと思います。忘れられた宝物です。
関連リンク
Discogs Blog ”Your Guide To Japanese Music, By Light In The Attic’s Yosuke Kitazawa”
https://blog.discogs.com/en/your-guide-to-japanese-music-by-light-in-the-attics-yosuke-kitazawa/
細野晴臣インタビュー:http://www.vinylmeplease.com/magazine/interview-haroumi-hosono-brian-wilson-japan/