2012年5月30日水曜日

ジョシュア・ベル/ウィーン交響楽団 コンサート


5月25日は、ウィーン交響楽団(Wiener Symphoniker)のコンサートに家族で行って来ました。プログラムは、ブルッフのバイオリン協奏曲一番とマーラーの交響曲一番。指揮は、ファイビオ。ルィージでソリストはジョシュア・ベル。 場所は、ウィーン・コンツェルトハウス。

ウィーンに来てすぐの頃、娘のバイオリンの先生を探していました。 そのさい、ある先生が娘が弾いたビバルディを聴いて、『これは、前の先生がこういう風に弾きなさいと教えた下さったの?』と尋ねられ、娘が『はい』と答えると先生は妻に向かって、アメリカではこう教えるのかもしれないけど、ウィーンではバロック時代の作曲家の曲はバロック風に弾いて、このようにロマンティックに弾くようには教えませんね、と仰ったそうです。それで、僕も妻もアメリカで人気の演奏家は、ウィーンでどのように受け入れられているのが興味をもち、ジョシュア・ベルのリサイタルを聴きに行ったのがちょうど一年前。ジョシュアのCDは何枚か持っているのですが、生できいたのがそれが初めてでした。彼のCDで特に好きだというのもなかったので、それほど期待していなかったのですが、 ライブで聴いたジョシュアの演奏はすばらしく、家族全員が魅惑され、また、彼のすごい技巧にも驚嘆しました。今年も是非ジョシュアを観たい~!ということでコンサートに参じた次第。クラシックの場合、演奏者本来の魅力が十分に記録されているレコーディングは少ないのかも知れませんね。ウィーンに来てからクラシックのコンサートに良く行くようになってからそう思うようになってきました。

ブルッフでのジョシュアのソロは期待通りとてもよかったです。ブルッフのバイオリンコンチェルト一番をいろいろと聞き漁った時期がありったのですが、数ある名盤・名演に負けず劣らずの目すばらしい演奏でした。




え、ジョシュアはこれだけ? という家人の問いかけのなか第1部が終了。ジョシュアがサインしてくれると聞いて、大急ぎで階下のエントランス・ホールへ。

幕間にファンにサインをする ジョシュア。
買ったCDとプログラムにサインを頂いて、席に戻ってまもなく第2部が始まりました。マーラーです。ぼくがチケットを求めた際には、すでにいい席は無く、あいにく右側の最前列しか残っていませんでした。一番前でフル・コーケストラ、特にマーラーを聴くのもなんだな~と思っていたのですが、これが結構面白かった。 マーラーは、各パートがまったく違うことをやることが多いから、演奏者にとっては難しく、オーケストラのレベルも高くないといい演奏ができないということを読んだり、聞いたりしたことがあるのですが、最前列からみるとそれぞれが違うことやっているということがよくわかるのです。

演奏に関しては、出だしにちょっと危なげなところがあり、オケがうまくまとまりきれていないところが何度かありましたが全体には楽しめた演奏でした。




ジョシュア・ベル公式サイト:www.joshuabell.com/
ウィーン交響楽団公式サイト:www.wienersymphoniker.at/



2012年5月28日月曜日

Rust

©I. Higa, All Rights Reserved 2012

5月20日 (日)は、世界遺産にも登録されているノイジードラー湖 (Neusiedler See)の湖畔にあるルストに行ってきました。ウィーンから車で1時間ちょっとのところにあります。 ここは、オーストリアでも有数のワインの産地なのですが、今回の目的はコウノトリ。 この町は、アフリカから地中海を越えてやって来るコウノトリの繁殖地としても有名です。(ノイジードラー湖に関しては、こちら

©I. Higa, All Rights Reserved 2012

  人口2千人ほどの小さな町なのですが、町の目抜き通り沿いの家の屋根にはこの通り、多くのコウノトリの巣を見ることが出来ます。

©I. Higa, All Rights Reserved 2012

ぶどう畑に囲まれた、美しい町です。

©I. Higa, All Rights Reserved 2012


コウノトリだけなく、ツバメの巣もたくさんあり、みんな子育てに大忙しでした。

2012年5月26日土曜日

チャリティー リサイタル


5月19日は、ウィーンのカルメリータ教会で行われた難民孤児院のためのチャリティー・コンサートに行って来ました。

演奏されたは、ウィーンを拠点に活躍されるバイオリニストの前田朋子さんとフーバー陽子さん。 フーバー さんは今回はビオラを演奏されました。

プログラムは、ストラビンスキーのビオラ独奏のためのエレジー、モーツアルトのビオラとバイオリンのため二重奏、バッハの無伴奏バイオリンソナタ、そしてハルヴォルセンのヘンデルの主題によるバイオリンとビオラのためパッサカリアとサラバンデと変奏。

お二人のリサイタルには何度か伺っていますが、今回もいつもながらのとてもすばらしい演奏でした。初めて聴いたストラビンスキーのエレジーは哀愁のある美しいメロディーで、思っていたほどコンテンポラリーな曲風ではなく、もっとじっくりと聴いてみたいと思った一曲でした。 ハルヴォルセンのパッサカリアは、数年前にアメリカで長女が通っていたミュージック・スクールのマスタークラスで生徒さんが演奏したのを聞いて以来、我が家全員が好きな曲の一つで、いままで、何度かライブでも聴く機会にも恵まれ、CDも持っています。前田さんとフーバーさんがこの曲を弾くを聴いたのは2度目ですが、前回に勝るとも劣らぬエキサイティングな演奏でとても楽しく聴かせていただきました。

リサイタルの後は、教会の会合室でリセプションがあり、オペラのアリアをバイオリンとビオラの2重奏に編曲した小品を数曲演奏してくださいとても楽しいひと時を過ごせました。


前田朋子さんの公式サイト:www.tomokomayeda.com
前田朋子さんのブログ(日本語):http://blogs.yahoo.co.jp/tomoko_mayeda
前田朋子さんのCD:

2012年5月23日水曜日

Claes Oldenburg



5月17日の午後は、半日休暇をとっていたので、家族でクレス・オルデンバーグ展を観にウィーン近代美術館 (mumok) へ行って来ました。今までで最も大規模のオルデンバーグ展とのことで、ウィーンのあとは世界各国を回るようです。 オルデンバーグに関してはWikipediaでご覧ください。

一通り作品を見てあとに、映写室で彼にかんするドキュメンタリーをみてより納得。
ジェフ・クーンズもオルデンバーグのような先輩に触発されたのかな~と思った次第でした(.Jeff Koons - wikipedia



オルデンバーグの公式サイト:http://www.oldenburgvanbruggen.com/

ジェフ・クーンズの公式サイト:http://www.jeffkoons.com/

2012年5月22日火曜日

The Audio Eagle

5月16日の夜に、ネット知り合ったウィーン郊外にすむノベルトさんのご招待をうけて、お宅にお邪魔しました。 彼のウェブサイトはこちら:http://www.theaudioeagle.com/。 ウィーン国立歌劇場前のバス停から4~50分ほどのバーデンにお住まいです。ワイン畑に囲まれた緑の多い閑静なバーデンは、モーツアルトやベートベンも利用した温泉療養地で、ハプスブルグ家の夏の離宮が置かれていたこともある場所です。

バス停で出迎えてくれて、ノベルトさんのお宅まで歩いて5分ほどで到着。玄関に入ると、リスニング・ルームから流れてくる音楽が聞こえます。 リスニング・ポジションであるソファーの真ん中を進められて、座って聴いてビックリ! すごくリアルな音! こんなにリアルなウッド・ベースはオーディオを通して聴いたことがありません。写真のようにとても存在感の強いスピーカーなのですが、音は自然に部屋を漂い、スピーカーから聞こえてくる感じがまったくしません。ノベルトさんのシステムは、製品構想の段階で一号機を注文し、自ら開発に携わったというHaigner社(http://www.haigner.com/)のGamma Horn を中心に組まれています。 Haigner社 は 音響エンジニアでウィーン市役所、市立コンサートホール、アルベルティーナ美術館などのPAシステムの構築・導入の実績を持つ、David Haigner氏が創立したウィーンにあるオーディオ・ファイル向けスピーカー・メーカーです。





準備してくださった、オープンサンドを頬張りながら、会話も弾み、いろいろと音楽をかけてくださり、楽しい時間が過ぎて行きます。

ノベルトさんも僕のサイトを見てくださり、VHAudio のワイヤーを使った自作ケーブルを聴いてみたいとのことでしたので、持参したデジタル・ケーブルとインターコネクトを試聴。まずは、デジタルケーブル。CDトランスポートとDACの間につなぎます。 すごくいい方向に変わったので、僕はホッ胸をなでおろしました。デジタルケーブルを選定中ということで、ノベルトさんは暫定的なケーブルを使っていたということもあったようです。 ノベルトさんも音楽を聴く楽しさが倍増と、ニンマリ顔です。

その次は、インターコネクトをフォノイコとプリアンプの間につなぎます。だいぶ音の傾向が変わりました。こちらは、どっちもそれなりの良さで、良し悪しよりも好みの問題かなという違い。でも、僕も持っているシステムよりも数段ランクの高いシステムで、持っていった自作ケーブルが健闘したのはうれしかったです。

あっという間に夜も更けて、夜11時過ぎのバスで帰途に着きました。 このバス、ウィーンのとバーデン郊外のカジノを結ぶバスとのことで、終バスは午前3時とのこと。気のせいか、賭場の残り香が漂っていました。

オーストリアは、翌日が公休日だったのですが、国際機関は休みじゃなかったので僕は出勤、起きるのつらかった~ 年ですね。でも午後は半日休暇をとってました。

2012年5月19日土曜日

ヒラリー・ハーン リサイタル


5月13日に、ヒラリー・ハーンのリサイタルに行ってきました。 伴奏はコーリー・スマイス、場所は、ウィーン・コンツェルトハウス。プログラムは、ベートーベン・バイオリンソナタ 2番イ長調Op.12/2、バッハ無伴奏ソナタ2番、ブラームス FAEソナタ スケルツォ。そして、それらをはさむかのように、ヒラリーが「The Hilary Hahn Encore」としてコミッションした現代の作曲家27人による27曲の小品集より計8曲。

ご存知のように、ヒラリーは、10歳でカーティス音楽院に入学し、12歳でメジャーオーケストラとの果たした天性のバイオリニスト。1997年にレコーディングデビューをしていますが、恥ずかしながら 食わず嫌いで、僕が最初に彼女を聞いたのは、2005年12月に家族とともにニューヨークのカーネーギーホールでのコンサートで。 そのとき、彼女はゲストとしてハイメ・ラレードとJSバッハの二つのバイオリンのための協奏曲(BWV1043)を競演しアンコールで、バッハを無伴奏(どれか忘れてしまいましたが)を演奏。 その甘美なバイオリンのトーンと素晴らしい音楽性のある演奏に、彼女のファンになってしまいました。

その後は、主にCDを聴くのみで彼女のコンサートに行く機会がなかったのですが、昨年5月にウィーン楽友協会で行われたコンサートで、彼女のすばらしさを再確認。 今年も発売と同時にリサイタルのチケットを購入しました。

さて、今回のコンサート、ベートーベン、ブラームス、バッハもさることながら、現代の作曲家による小品曲の演奏が特によかった。それぞれの曲そのものもおもしろかったのですが、バイオリンという楽器の可能性を極限まで追求したような曲が多く、それを難なく弾きこなし、音楽として楽しませてくれたヒラリーの超絶技巧はすごかった。たぶん彼女でないと弾けないのではないかと思うような曲も多かったです。 去年も今年もよく知られた歴史的名曲のなかに現代の曲を交えたプログラム。クラシックは古典芸能でなく、生きた音楽芸術であることを観客にアピールしているかと思われるヒラリーの姿勢には、好感がもて同調できます。

彼女はコンサートあとに、サイン会をするのを常としているようで、 今回も、一月近いヨーロッパツアーの終わり近くで、疲れが見えていたヒラリーですが、コンサートの後、にこやかにサインに応じていました。 バイオリンを習っている次女は、持って行ったヒラリーのCD2枚とプログラムにサインをもらってニンマリ顔でした。 ヒラリーの人気ではこのようなプロモーションをする必要もないのではないかと思い、これもクラシック音楽のファンを増やし育てていこうかとする彼女の努力かと感心させられました。


僕の好きなヒラリーのCD:


ヒラリーの公式サイト:http://hilaryhahn.com/


2012年5月15日火曜日

ブラヴォー! グスターボ



5月2日に、グスターボ・ドゥダメル指揮、ベルリンフィルのコンサートに家族で行ってきました。場所は、楽友協会大ホール、プログラムは、ベートーベン第五とリヒャルト・ストラウスのツァラトゥストラはかく語りき。

我が家は全員グスターボのファン。彼を聞くのは、これで4度目です。第一回目は2010年5月にワシントンD.C.で、LA フィルと。このときは、バーンスタイン交響曲第2番とチャイコフスキー6番『悲愴』。 2度目は、ウィーンに越して来て間もない2011年2月にLA フィルと、プログラムはベートーベンの7番にアダムスとバーンスタイン。 3度目は2011年12月にウィーン・フィルの公開リハーサルの時でした。このとき、本番で演奏したメンデルスゾーンの交響曲3番は、ライブ(多分)録音されてLPレコードのみで発売される予定です。尚、このLPの売り上げは、南米ベネズエラにて、1975年に始まった音楽教育制度のエル・システマに寄贈されるそうです。

今年31歳になったドゥダメル、聴くたびにすごくなっていっています。今回のコンサートでも、世界最高峰に立つベルリンフィルの楽団員たちが、彼の指揮のもと、一丸となって、グスターボの世界を共に創っていく。ベートーベンの第5は、正にその極みで凄かった。オーケーストラがノリに乗って、楽団員の感動と喜びが観客席の我々にひしひしと伝わってくる。聞いていて気分が高揚し、第5を初めて聞いたときおなじ感激を最体験できたような気がしました。ツァラトゥストラも、ちょっと荒削りのような気もしましたが同じように凄かったです。いつもながら、グスタボはプログラムすべて暗譜でした。
びっくりしたのは、観客の反応が今ひとつだった事。グスターボの独自の世界は、保守的なウィーンの観客の持つベートーベンのイメージには、合わなかったようです。2011−12年楽友協会コンサート・シーズンの一つの目玉でもあり客席はいつもにも増して肩を張ったような人たちが多かったせいもあったのかもしれません。

でも今回は、新進気鋭の大人気指揮者であるドゥダメルが、確実に名実共に今世紀最高の名指揮者になっていくだろうという事をより確信出来たコンサートでした。彼の魅力を十分に伝えられるレコーディングは、残念ながらまだありませんので、機会があれば是非ライブを見に行ってください。



ドゥダメル公式サイト:http://www.gustavodudamel.com/