当地にはクラフェン(Krapfen)というお菓子があります。粉砂糖がかかっている穴の無いドーナッツに杏のジャムを入れたものがその典型ですが、バニラクリームが入ったものもよく見かけます。アメリカのジャリー・ドーナッツと同じようにも思えますが、おいしさは断然こちらのほうが上。クラッフェンはやや小振りで甘さを控えめにした軽めの生地と果物味を生かした甘酸っぱい杏のジャムとの絶妙なコンビでついつい2~3個ぺろりと食べてしまいます。
このお菓子、もともとは謝肉祭(カーニバル)の季節に食べるというのが習慣で、11月11日(オーストリアでのカーニバルの季節の始まり)から 四旬節が始まる日(今年は2月9日)までの間はどのベーカリー(パン屋さん)でも店頭で見かけるお菓子です。特に謝肉祭の最後の日には必ず食べるというのが習慣のようで、その日にはどのお店でも山積みにして売っていますが、翌日には殆どの店先から消えてしまいます。
ウィーンに来て間もないころ、クラッフェンに魅されて週に2~3回近所の行きつけのパン屋さんで買って家族で食べていましたが、ある日忽然と姿を消し、お店の人にクラッフェンは無いのと聞いたら、不思議そうな顔をされ、すぐに、あ、外人だから知らないのかという納得した表情でこのお菓子のことを説明してもらったのがもう5年前、良い思い出です。昨日のことのように感じますが時がたつのは早いですね。
最近は、謝肉祭の時期以外でもより多くのお店で見かけるようになりましたがこの時期に食べるクラッフェンのほうがなぜかおいしく感じます。こちらの知り合いに聞いてもみんな同じ事を言います。味覚というのは不思議なものですね。
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