2014年4月17日木曜日
Weingut Josef Fritz(ワイングット・ヨーセフ・フリッツ)
ワインを買う時はウィーン近郊のワイナリーに行くことが多い。出来るだけ色々なところを試したいので毎回違う所に行くように心掛けているのだが唯一の例外が此処、Weingut Josef Fritz (ワイングット・ヨーセフ・フリッツ)。ウィーンから車で小一時間ほど北に行ったWagram地区にある。小さいながらここ数年間、毎年必ず当地の本や雑誌のワイン・セレクションの上位にランキングされているワインを造リ続けているっているワイナリー。 それでも商業主義に流されず、一部の輸出用廉価ワインとレストランへの卸を除いてワイナリー直売にこだわる。そのためか値段はとてもリーズナブル。工芸家が作品に対してこだわりを持つようにワイン造りにこだわるオーナーのフリッツ氏は気さくな性格でワインを買いに行くと必ず自ら対応してくれる。訪ねていく客に対しては、希望のワインのみならずその時点で販売している全てのワイン(大体10~15種類程度)を一通り試飲してから納得して選ぶことをやんわりと主張。ついついあれもこれもと気がつくとリストは丸印だらけで最後には何を買って帰るか決めるのに苦労してしまう。
試飲の最中はフリッツ氏がとても楽しそうに色々と説明をしてくれ、『...これは大きな樽に入れて熟成、こっちは小さい樽ね...同じ畑の同じブドウでもこんなに違いが出るんだよ...』とか、『...これらは全く同じ品種で同じ方法で醸造し熟成させただけど味が違うのはそれぞれ違う畑で違う土壌だからだよ...』等々。
ワインが美味しいのは言うまでもないが、フリッツ氏のそういう人柄に我々は惹かれ、買ってきたワインが無くなるとまた出かけていくのである。
ここの看板品種はローター・ヴェルトリーナーという薄紫の皮のブドウ。ウィーンに来て知り合った音楽家の方が『...赤いブドウでも白ワインが出来るんだよ...』と言って紹介してくれたのがこのワイナリーだった。このブドウ、古い品種らしいが栽培が難しいこともあり、最近では栽培条件が似通っているオーストリアを代表する白ワインのブドウ品種であるグリューナー・ヴェルトリーナーへの植え替えが進み栽培面積は減少しているらしい。最初はグリューナー(緑)・ヴェルトリーナーに対し、赤い皮を持つヴェルトリーナー種のブドウがローター(赤)・ヴェルトリーナーだと僕達は思っていたが、遺伝子鑑定の結果のグリューナー・ヴェルトリーナーは他のヴェルトリーナー種とは関係のないものであることがわかっているらしい。
最近伺ったのは2月の終わりのこと。この時のご自慢は去年の品評会で一位になったシャルドネ。フリッツ氏曰く、「みんな(業界の仲間)は、僕が珍しいローター・ヴェルトリーナーでワインを造るからいつも賞を取れるんだと陰口を叩くから、腕の違いを見せるため奮起したんだ」と笑顔ですすめてくれた。
Weingut Josef Fritz HP: http://www.weingut-fritz.at/index.php?lang=en
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