昨年の秋の暮れ、家族でエレーヌ・グリモーのソロ・コンサートに行ってきました。 場所は、ウィーン・コンツェルトハウス。アメリカから遊びに来ていた妻の従妹2人も一緒です。プログラムは、グリモー2010年のアルバム『レゾナンス』全曲。モーツアルト、リスト、アルバンベルグ、そしてバルトーク。
会場は満席。著作もすべてドイツ語訳が出版されている彼女はウィーンでも大人気のようです。 休憩時間トイレに行く途中、どっかで見た顔にバッタリ。僕の顎の噛み合わせの問題と次女の歯列矯正で親子ともどもお世話になっている歯医者さんのDr. Ronayです。いつもの開襟シャツとジーンズという格好とはうって変わって、今日はダークグレーのスーツに真っ赤なネクタイ! 先生は、『あ、僕の患者だけど名前が出てこない…』 という表情でしたがにこやかに握手。 『明日予約が入っているので、よろしくお願いします。』と別れました。
翌日、診療室に入るなり、『昨日の演奏はどう思いましたか?』 面白かったけど、モーツアルトは変わっていましたねと答えると、先生はニヤリとして、『そうなんだよ~彼女は、作曲家の意図を完全に無視して自分を表現するタイプだからね。 そういう意味では、グールドと一緒』 ...『昨日のバルトークは、ダイナミックスが足りなかったね。あそこのホールなら、もっとフォルテシモが出るはずだけどな~、ピアノのせいか彼女が疲れていたのかわかないけどね』...云々と診療後回しでしばらく音楽談義。
先生はウィーン生まれ・育ちで思っていたよりだいぶ年上であるらしいということ、小さいころから音楽に親しみよくコンサートに行っていた。 グルダのベートーベン・ピアノ・ソナタ全曲演奏のコンサート・チクルスをすべてみた, ブレンデルが好きだ、などなど、15分程度で終わるはずの予約が40分近くかかってしまいました。 外に出ると患者さんが3人ほど待っていました。
グリモーが弾いたリストのピアノ・ソナタ・ロ短調を14歳のときにはじめて聴いて以来 好きな曲だという、DR. Ronayが一番好きだという ジョルジュ・シフラの演奏のCDをこれまた、先生に教えてもらった、jpc.de から早速買って聴きました。録音は、古いけどよかった。
グリュモーの『レゾナンス』も持ってなかったので一緒に買いました。 このCDのモーツアルトも独創的ですがコンサートの演奏はこれよりも格段にわが道をいっていました。
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