2012年8月17日金曜日

木釘の靴


僕の足は小さくて幅広なので、靴を探すのには困る。 特に欧米では靴屋やデパートの靴売り場でサイズを言うと難しい顔をされ,首を横に振られることがほとんど、運が良ければせいぜい片手の指で数られる程度の靴が出てくる。選択肢が多くて悩むことは無いので楽と言えば楽なのかもしれないがデザインで靴を選ぶ楽しみはないのに等しい。日本で買えばいいかとも思うのだが、一般的に日本のほうが高く、特にいまの円高な環境ではドルやユーロで給与を受け取るものにとっては高嶺の花。日本製の靴は軽くて丁寧に作られているのだが、欧米に長く住みでこちらの丈夫でがっしりした靴を見慣れていると、ちょっと安心感に欠け割高感があることも否めない。

ウィーンに移って一年半ほどたち少し慣れてきてわかってきたことだが、ウィーンでは中小の靴メーカの商品が結構あり、思ったよりもサイズを探せるということ。最近見つけたのだが、オーストリアのメーカーでビジネスシューズのイージー・メードをやっているところ。その名もずばり、Handmacher(手メーカー)。 価格は200ユーロちょっと。これが高いと思うかどうかは各々見方が次第かとは思うが、日本の代表的な紳士靴メーカーであるリーガルやスコッチ・グレインの革底靴が3~4万円することを勘案すれば、リーズナブルな値段だと思う。お店でサンプルをみるとよさそうだったので、しばらく考えて注文して届いた靴が下の写真。  



お店の話では、靴はチェコで作られているので安いのだそうだ。この靴の靴底は、なんと木釘で打ちつけられている。 (下がその拡大写真)インターネットで調べる限り、木釘を使うやり方は古く、いまでも残っているのは旧オーストリア・ハンガリー帝国であった地域に多いらしい。 木釘で打ち付けた靴底はカパッと底が外れることもあるらしいので縫い付ける方法が主流となったのはそれなりの理由があるのだと思う。でも、むかしながらのやり方に頑なにこだわった靴を履いてみるというのはちょっと特別な心をくすぐられる気持ち。






ちなみに、僕がこの靴を求めたお店は、Mörtz という家族でやっている小さなお店でもともとは登山靴が専門のようだが、ビジネスシューズ、靴の修理一般、カスタムメード靴、舞台・演劇・映画でキャストが履く靴の製作などもやっている。店員さんも感じよく。登山靴やハイキング・シューズは自ら靴を作る靴職人のお父さん厳選のセレクションと的確なアドバイスでいいものが選べる。ビジネスシューズは、このHandmacher以外にも、お店のオリジナル・オーダーメードがありこちらはより堅牢で高級感あふれる靴なのだが、値段は600ユーロからとのこと。いつか、一足作ってもらいたいなーと思うがいつになることやら。 ぼくは、この靴のほかにハイキングシューズもここで買った。ウィーンでお薦めの一店。

お店(Mörtz)のサイトはこちら:http://www.bergschuhe.at/

メーカーのサイトはこちら:http://www.handmacher.at/





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