2019年10月18日金曜日

第3回 ウィーン日本映画祭 (Japannual Japanische Filmtage Wien)


墺日協会主催のウィーン日本映画祭が10月1日~6日の間、開かれました。今年で第3回目、諸事情で過去2回、観に行くことができなかったので、妻と二人で今年こそはと、張り切って上映 さ れ る 映 画 す べ て に利用できる特別共通パスを買ったのですが、すでに書いたように色んなことが重なって、やっといけたのが5日土曜日…。元を取るぞと遅れを挽回すべく、2日で計5本、以下の映画を観ました:「日日是好日」、「サムライマラソン」、「メランコリック」、「引越し大名」、「翔んで埼玉」。どれも面白かったですが、個人的に特に印象が強かったのが、「日々是好日」と「メランコリック」でした。


僕は、小津安二郎が好きで、氏の映画に相通ずる、決して劇的ではなく多くの普通の人々が日常のなかで遭遇する日々のドラマを淡々と語る映画に惹かれます。良い意味で流れにあがわらず包容と受身の感覚に溢る中から自らの道を探し得る主人公の生き様を描くスタイルは多くの日本映画の魅力の一つではないでしょうか?「日々是好日」は、まさにその様な魅力のある映画でした。優れた監督、脚本、キャストでこの物語の魅力が十二分に表されていたと思いました。僕は大学時代に茶道を習っていたのですが、観ていてその頃の思い出が沸きだしてきました。



本邦では低予算映画として話題になったようですが、それを知ったのは観て後のこと。そんなことまったく感じさせない優れた出来栄えの映画だったと思いました。『さとり世代』や『子供部屋おじさん』といった今の日本の世情を反映した現実的設定のファンタジー。羨む学歴を持ちつつも世間一般の期待に沿った人生を歩めず(まず)にそのはざまで停滞してる主人公がシュールな状況に嵌って、結果的に学歴の呪縛から逃れ、自らの道を見つけ、自己実現を果たしていくというある意味で希望のあるストーリーでした。僕は、伊坂幸太郎の小説が好きなのですが、氏のユーモアに相通ずる可笑しさのある映画だったと思います。

ゲストでいらしていた、「メランコリック」監督・脚本の田中征爾氏、主演・プロデュースの皆川暢二氏、「翔んで埼玉」監督の武内英樹氏の談話と質疑応答もとても興味深かったです。


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