2020年10月1日木曜日

トランプ大統領の再選がありうる背景-その4(むすび)支持政党上の忠誠心・アンチ・トランプだけでバイデン氏は勝てるのか?



先日、第一回目の大統領候補公開討論が行われました(上の動画)。欧米の政治・時事評論家たちはこの討論会はいずれの候補者の支持率には大きな影響を持たないと評し、もともとトランプ氏支持者だった層はより支持が固まり、バイデン氏の支持者はよりその支持が強まったと述べています。また、討論会が終わった後のCBSニュースの調査によると、バイデン氏が勝ったとの回答は48%、トランプ氏は41%でした。10%は引き分けと回答したとのことで(日経新聞)評論家の分析を裏付けているとも言えます。『その1』で書いた、アメリカ大統領選挙の結果を左右するといわれている決まった支持政党がない層(Independents)に対しても大きな影響はなかったというのが大方の見方です。

これとは別に先週話題になったことが、レーガン政権下で大統領首席補左官及び財務省長官を務め、ブッシュ(父)政権下で国務長官を務めたアメリカ共和党の重鎮、ジェームス・ベーカー(James Baker)氏がTump大統領自身は支持しないが、共和党政権を守つためにトランプ大統領に投票すると述べたことです(WashingtonPost 紙)。共和党支持者間でも反トランプの意思を表す流れはあるようですが、アメリカでは(特に保守派)は支持政党にたいする忠誠心が強く・またそれが要求される国でもあると思います。政治家が帰属する政党を変えるということはよほどのことがない限り、その政治家の政治生命を終えるか短縮することにつながります。このことと『その2』で書いたようにもともと共和党支持者にはマスコミを信頼していない人が多いこともかさなってトランプ大統領が今から投票日までの間にどのような言動を行ってもその支持は揺るがないと考えて間違いないと思います。

そうなるとやはり、Indepdenents の層の動向がカギを握りますが、この層は一枚板ではなく、トランプ大統領は好ましくないからバイデン氏に投票するという人もいれば、トランプ氏個人の言動は気に入らないが政策・政見は自らの考えに相いるものがあるからトランプ大統領に投票、どちらも気に入らないから投票には消極的など様々な人々で成り立っています。ここで僕が気になるのはバイデン氏の政見・公約がはっきりと伝わってこないこと。氏からはアンチ・トランプのメッセージは強く伝わるものの、自分だったらどうする、自分が選ばれたら何がどう変わるのかということがあまり伝わってきません。Indepdenents の層になかにはおそらく、トランプ氏の言動は気に入らないがバイデン氏が大統領になったら何がどう変わるのか?ということで最終的に誰を支持するか決める人々も多いのではないかと思います。そのように考えると、アンチ・トランプを中心とした選挙戦略で勝てるのかという疑問もわいてきます。

今回のアメリカ大統領選挙はその結果いかんで世界が大きな転機を迎えうる重要な選挙になると思います。もしその転機を生む結果となれば、僕は地政学的にも大きなパラダイムシフトにつながっていくのではないかと考えています。僕にとってはとても気になる選挙です。


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