2020年6月19日金曜日

ジョージ・フロイド氏殺害と人種差別抗議行動

By Lorie Shaull - https://www.flickr.com/photos/number7cloud/49959004213/, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=90963059

ミネソタ州で黒人のジョージ・フロイド氏が警察官に過度な拘束手段により死亡した事件(その後、当該警察官は殺人罪で起訴、こちら)に端を発し、世界中に広がった反人種差別の抗議行動と暴動。



この事件でまず頭に浮かんだのは、アメリカ在住の時に見た二つの映画。スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』(原題: Do the right thing、1989、予告編上)と第78回アカデミー賞作品賞受賞作品 『クラッシュ』(原題:Crash、2004、予告編下)、そして、1991年のロドニー・キング事件と事件の判決に対する抗議行動と暴動(こちら)。そして思ったのは、結局、何も変わっていないじゃないかという失望感。

アフリカで捕らえられ、奴隷商人の商品としてアメリカの(主に)農場主に売るために連れてこられた人々の子孫。奴隷解放問題が主な引き金となりアメリカを2分し75万人の死者を出したとされる南北戦争、リンカーン大統領による奴隷解放宣言と彼が押し通した奴隷禁止を定める米国憲法第13修正、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が率いた公民権運動の結果1964年に制定された人種差別を禁ずる公民権法など、アメリカではその歴史上人種差別を無くすために、時としては多くの犠牲を伴う、多大な努力がなされ、法制度が整えられてきました。

しかし、法制度改革はあくまでも建前であって、アメリカでの黒人に対する差別は無くならず、彼らの生活も良くならなかった。世代を重ねても生活レベルは向上するどころか低下し、最近ではグローバリゼーション、インターネットなどによる産業構造の変革により、もともとアメリカの中流階級を支えた、いわゆるブルカラーの仕事は大幅に現象したと、直近ではコロナによる大量解雇でさらに大多数の黒人が失業。絶望と不安と不満が満ち溢れて今までに無いぐらいに大きく膨らんできたとき、ジョージ・フロイド氏殺害が起爆剤となり史上もっとも大きく広範囲な抗議行動と暴動につながった。人種差別は3世紀以上、何世代にもわたって黒人の人たちを苦しめてきた、根深い問題。それに昨今の大幅な所得・資産格差の問題、若者たちの高い失業率などの問題が抗議行動を大きく広げた要因だと思う。

ここで紹介した2本の映画以外にも、『カラーパープル(1985)』、『大統領の執事の涙(原題: The Butler(2013)』、『グローリー/明日への行進(原題: Selma、2014)』、『13th -憲法修正第13条-(2016)』、『グリーンブック (2018) 』とアメリカの黒人に対する人種差別が描かれている映画は数に暇がありません。それらがすべて現実を反映していると言うことはとてもかなしことだと思います。

今回の一連の事件が、人種差別問題の真の解決につながる大きな契機となっていくことを望む限りです。




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