最近はバイオリンよりドラムスの方に夢中な次女が「物凄いドラマーがウィーンにくるから見に行きたい、連れて行って」と言ってきた。
どっちかというと無口で自己主張をあまりしない次女がこんなことを言出だすのは珍しいので、「いいよ、誰?」と僕。
「ジョジョ・メイヤー(Jojo Mayer)、知っている? ジャズだよ~」と娘。
「知らない。どんな演奏するの?」ときいたら、YouTubeやSpotifyできかせてくれた。
なんとなく、電子音楽しかもトランスぽく聴こえたので「この人のコンサートは面白いかな?」と正直言って億劫な気がしたのですが、娘の為だと行くことにしたのでした。でそのコンサートが去る日曜日(11月16日でした)。 重なる時は重なるもので、この日はオペラのシーズンチケットの公演の日であったのですが、それは別の日に替えてもらえるように手続きをして、しかも僕の好きなバイオリニストの一人、ヴァディム・レーピン(Vadim Repin)が楽友協会のBrahms Saalという小さなホールで行うコンサートもあって、こっちも見に行きたかったのです。
でコンサート当日、娘とウィーンのProgy and Bessへ。テーブル席のチケットが早々と売り切れ、立ち見券しか買えなかったので早めに行こうと開演の1時間ほど前に到着。中に入るとなんと、ステージのあるメインフロアはイスとテーブルがしまわれて全て立ち見。座れる指定席は2階のみでした。早めだったので娘はステージしかもドラムセットの真ん前に陣取って待ちます。ほぼ満員状態でなって、予定の8時半を数分遅れて開演。
いや~凄い。凄すぎました。しょっぱなからノックアウト!ジョジョ・メイヤーの決して腕を見せびらかす為のでない超絶的技術のドラミングと音楽的カリスマにやられました。
電子楽器特有の音やエフェクターの入りますが、基本的にはアコースティック・ドラムスがリーダーのトリオ。もっと正確に言えば、ベースとシンセは基本的にドラマーのサポートで伴奏専門という感じで彼ら独自のソロは殆どありませんでした。
音楽的にはどうだったか? それぞれの曲には特にこれといったメロディーもなく、基本的には即興(Improvisation)でジョジョ・メイヤーはずっとソロをやっているという感じ。曲ごとのドラミングはそれぞれが異なる曲だという事がはっきりとわかり、一貫性・一体感があり、曲としてまとまっている。3人のサウンドもまとまっている。フリー・ジャズではなくはっきりとした違いがある。きいていると、これははっきりとジャズだと思えるものの、じゃあどこがジャズだと聞かれるとはっきり答えられない。ビート・リズムが主体だけど踊れるかんじでは全く無い。ロックやポップスが時代と共に様々な新しい音楽の要素を取り入れて進化して来た様に、ジャズも進化してきたのであればこの様になったかもしれないという一つ提示かもしれません。なんだかんだ勿体ぶっても一番感心したのは観客の受け。みたところ9割方20代の観客ですが演奏が進むと共に静的なエネルギーの高まりを感じ、ほとんどのお客さんはみんな音楽に吸い込まれたように体を揺らせながら演奏に聴き入っていました。
オーディオファイルの僕にとって面白いと思ったのはサウンド・エンジニアもバンドの一人として紹介していたこと、「real time processing」といっていました。
2回のアンコールを含め、終わったのがちょうど夜の11時ごろ。凄くよかったね~とはなしながら、霧雨のウィーン旧市街を次女と家路につきました。
ジョジョ・メイヤー公式サイト:http://www.jojomayer.com/
彼の凄さを経験するにはライブが一番かと思いますがCDも紹介しときます:
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