2014年11月6日木曜日

Oscar Peterson: The way I really Play (邦題:オスカー・ピーターソンの世界)



一応、初期盤です

ここ2~3ヶ月アナログ盤再生の音の調子が悪くて、たぶんフォノイコの真空管だと思っていたのだが、仕事とプライベートに色々と忙しく延び延びにしていたののを10日ほどまえやっと交換。レコードをかけると、新しく導入したスピーカーケーブルのお陰もあってか、我が家のアナログ盤再生は今までで最高の音! そんな訳でここ数日のかかる音楽は全てアナログ盤。

その中で特に聞き惚れ直したのがこのレコード。Oscar Petersonの The way I really Play (邦題:オスカー・ピーターソンの世界)。彼がMPS (Musik Produktion Schwarzwald, ムジーク・プロダクション・シュヴァルツヴァルト) レーベルに録音した Exclusively for My Friendsシリーズの第3番目。このシリーズは、「お友達のためだけに」と題されているようにオスカーが親交を深めていたドイツ名門電気・音響機器会社SABAの御曹司で同社の技術担当役員でもあった Hans Georg Brunner-Schwer氏のドイツ、シュヴァルツヴァルト(黒い森)地方にある別荘につくられた リビング兼スタジオに招かれた内輪の友人達の前で行われたライブ。ライナーノートによるとピーターソンは1961年以降毎年この別荘に招かれており、1963年以降それらライブを録音するようになったとのことである。そして、このレコーディングは1968年にBrunner-Schwerが自らをプロデューサー兼録音エンジニアとしてMPSレーベルを創立し、そこにピーターソンが移籍して初めて日の目を見ることになったのである。

ピーターソンは自ら生涯で一番出来のレコーディングはMPS時代のものと述べているのだが、音楽性・演奏の出来としてはこの Exclusively for My Friendsシリーズが特に優れており、そのなかでもこのアルバムはダントツに良いと思う。僕はジャズ聴き始めてだいぶしばらくの間ピーターソンがピンと来なく、それでも彼が偉大だとされる所以をわかりたくてたくさんのレコーディングを聴き漁ったことがあった。これがやっとわかったのはこのアルバムを聴いたときだった。

また、彼がMPSに移籍した理由を聞かれ、初めて自分のピアノをそれらしく録れたのがBrunner-Schwerだったからと答えたという逸話もあるように音もまた凄い。一般的なオーディオファイルの尺度からのみた優秀録音かというとそう言う訳ではなく、独特で個性的でインパクトのある凄みのある音なのである。ピアノの超分厚い低域が特に印象的である。僕は一曲目の「Waltzing Is Hip 」のイントロでノックアウトされた。物凄い臨場感! CDも良い音だが、こちらはより一般的な音の良さで、僕はサウンド・チェック用にもつかっている。かけるのはもちろんこの一曲目。

このブログの記事を書くにあたっていろいろと調べていたらExclusively for My Friendsシリーズがアナログ・リマスターLPで数ヶ月前に再発されていた。セットのみで150ユーロほどだが、初期盤が中古で一枚30~40ユーロ前後であることを考えると妥当な値段かもしれない。なお、受注生産でオープン・リール・テープも販売されている。気になるけど、アルバム毎テープ2本でなんと300ユーロ!ちょっと買えません。


新生MPSレーベルのサイト(テープに関する情報はこちら:http://www.mps-music.com/tapes/

Hans Georg Brunner-Schwer Studio HP:  http://www.hgbs.de/home







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